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           メール・マガジン

      「FNサービス 問題解決おたすけマン」

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    ★第154号       ’02−09−27★

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     松下今昔

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●あいにく初回を逃して

 

NHKスペシャル<苦悩する”家電の巨人” 松下電器再生への模索>

は再放送で観ましたが、かつてご愛顧頂いた者として胸が痛みました。

 

それが皮肉なことに、前号の<変革>なきは死滅云々を書いていた最中。

サーモ屋が知っていたのは、つい<天下の>と肩書きを付けて呼ぶよう

な<松下さん>でしたが、、 え?<再生>? 赤字4310億円?!

 

久しく放念しておりましたが、ばったり会った昔の恩人の変わり果てた

姿、と譬えたくなる画面のグラフ「20年来、収益は右下がりの一途」、

目を疑いました。 その間ずっと、新ヒット商品無きまま売上高維持に

努めたせい、という。 たしかゴーン氏を迎える前の日産自動車も、、

 

商品に魅力が無いから値引きでもしなきゃ売れない。 だが売らにゃあ、

の悪循環。 ジリ貧に陥って不思議無し。 しかし、どうしてあの商売

上手な<松下さん>がそんなこと? 不思議あり。

 

カリスマ去って後継者にカリスマ無く、、が理由ならホンダやソニーも

同じこと。 だが、依然盛大、、 どこが違うんだ?  敢えて言えば、

本田宗一郎、藤沢武夫、井深大、盛田昭夫、みな<人間>だったけれど、

<幸之助>は神様だったからなあ、、

 

*   *

 

番組の視点もそれで、<神様>以後、時代の変容に追従し損なったのが

原因。 進んで変革すべきだったのに<神様>がお作りになった仕組み、

畏れ多くて容易に手が下せなかった、と。

 

人情として分かるが、そりゃマネジメントじゃありませんな。 現社長

中村邦夫氏は一昨年6月就任、というからすでに時間は十分かけたはず。

なのに未だに変革以前。 「アメリカ松下での手腕を買われ」た人も、

 

コチラでは揮いようが無かったか、、 厳しい表情、重い口。 「傲慢、

自己満足。 社内会議ばかり。 摩擦を恐れる。 現体制が良いと言う

人が半分以上、、」 やれやれ、抵抗勢力 everywhere。

 

  冷戦時代のアネクドートに、「ブレジネフはバカだ」と喋った男が

  (元首誹謗の罪でなく)国家機密漏洩に当たる、とされたのがあり

  ましたな。 社長が<企業秘密>を漏らしちゃって良いのかね?

 

「シガラミは許せない」とも言われるが、シガラミ側は許されるつもり

らしい。 「従業員27万、売上げ高7兆円」、そのイナーシャも巨大、

急旋回できにくいだろう、、

 

<神様>はお見通し、世に先駆けて<事業部制>。 「名は事業部だが、

全く独立した会社のごとき、、成果がハッキリ分かる責任経営、、」と

のたまわっておられた。 にも拘わらず、の<収益右下がりの20年>。

 

どうやら各<社>、オール無<責任経営>だったようです。 <神様>

が人材育成を誤ったのか、<信徒>が生臭揃いだったからか、、

 

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●さらに厄介なのは社<外>のシガラミ、

 

<神様>が遺された系列販売店組織。 最盛期全国2万7千店、減って

今は1万9千。 新製品投入に際し、1店1台でも初回生産数3万OK

の有利・安心、大量生産・大量販売を可能にしておりました。

 

が80年代、風向き変わって客は量販店に向かい、街の電気店は素通り。

当今「系列店の6割が赤字。 販促費や店員派遣の支援も重荷に、、」。

完璧幸之助モデルは<足かせ>としても完璧でした。

 

ある時の<絶対有利>パターンが、状況の変化で<絶対不利>化する、、

<天下の松下さん>よ、汝もその<よくあるケース>の一つだったか!

 

  我がプリミティブ女房も「ナショナル製品しか並んでないお店じゃ、

  覗く気にならないわよ、ねえ?」 選択の自由が無くちゃ、と。

 

  「<日本製>にこだわる人も少なくなっちゃったし、な」と私。

 

 

<松下さん>に完璧な献身を求められたのは販売店だけでなく協力会社

も。 だがサーモ屋は<特定一社に偏らない>方針、100%? トン

デモナイ!  そのため、ちょっと憎まれたり。

 

しかし昔も不景気はあって、テキの言うことがある日急変、「依存度の

低い協力会社は立派」と来た。 要は、ブラ下がられるのは困る、の意。

何とも身勝手な<変革>ぶりでしたが、ともかくも

 

そのように変われたのは、事業部即ち工場が「独立した会社のごとき」

だったから、かも。 そもそも<事業部制>、冷蔵庫メーカー中川電機

を傘下に収めて冷蔵庫事業部、寿電子にヤグラを作らせてコタツ(では

なかったが忘れた)事業部、という具合。 もとは<ごとき>どころか、

それぞれ<独立した会社>そのものだったのです。

 

サーモ屋を見込んで下さったのも、その<中川さん>。(第84号参照)

それが事業部となり、松下冷機株式会社となり、場所も東大阪布施から

滋賀県草津へ。 その間サーモ屋も発展、社名を変えた、工場所在地が

変わった増えた。 「改善は永遠なり」、変革は進歩なり!

 

系列店もやや同様ではあったろうが、モノの流れは逆方向。 ある種の

<押し込み>ですから<天下の松下さん>もお願いする姿勢。 両者に

生じた<万能感>(第95号参照)が油断を生み、、

 

禍福はあざなえる縄のごとし、、<ナショナル>を掲げているがゆえに、

<客が入らない店>になっちゃった。

 

*   *

 

そこで<プロショップ道場>、経営コンサルタントを講師にした系列店

研修、「地域顧客の掘り起こし」を狙う。 たとえば

 

高齢者所帯なら、使われている電気品も新しくあるまい、量販店へ足を

伸ばすほどマメではなかろう。 修理訪問ついでに新商品を紹介したり、

活用ノウ・ハウを提供したり、などのサービスは必要かつ有益、、

 

と私も思うが「そうしている店は少ない」由。 じゃ、何してるんだ?

首を傾げます。 コンサルタントの提言、「家族経営を脱皮、自立経営

へ、、」、そのために

 

「訪問活動担当の従業員を雇え」と。 おいおい、この時期、新規投資

は困難、、受講者も首を傾げる。 じゃ、家族社員が回れば? と私は

思うが彼ら、そうする、とは言わない。 それも変革への抵抗?

 

そんな系列店ルートの売り上げが今も37%、、 ああ共存共栄、何と

重たい依存関係。 かつての福が今は災い、それを転じて福となし得る

か? <変わりたがらない>人たちには無理でしょうなあ、、

 

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●ヒット商品が生み出せないのは

 

「永年の成功体験で染みついたおごりの体質」ゆえ、それは「事業部と

顧客の距離が遠すぎる」からで、それも系列店方式を採ったためと社長。

 

  えっ? <収益低下一途>の<20年間>だって<永年>でしょ?

  むしろ<不成功体験>が<染みついた>んじゃ?

 

「作っただけ売れる仕組みがモノ作りの現場を市場から遠ざけ、変化に

対応できなくなっている」と分かっていて「<仕組み>は聖域、怖くて

誰もいじれない」、、で、先送り? おお、日本的!

 

 

しかし漸く変化が、と紹介されたのは門真のTV事業部。 往年栄光の

長大コンベアを撤去して<セル生産>化。 それは第94号<鳥取三洋

電機屋台方式>の松下的呼称のようですが、

 

これで「市場の要求に俊敏に対応できる。 視点を外に、、」と工場長。

一生懸命は分かるが、お見当違い。 それは収益低下を僅か緩和するか、

作業を面白くするだけの消極策。 <ヒットを生む>には至るまい。 

 

思うに<ヒット商品が出ない>のは、<マネシタ電器>と言われた通り

自らはヒットを生まず、よそのヒットに便乗することをもって本分とし、、

だったからでは? <セル生産>も所詮<マネシタ>だけ。

 

その体質が本質、容易には改まらない。 一例は社歌斉唱。 何と中国

でも歌わせていたんですね。 <天下の>だった頃ならともかく、

 

冷蔵庫に至っては中国市場シェア1%。 歌ってる彼らも胸が高鳴ると

いう表情ではなかった。 <上>が文化の違いに鈍感? それとも社歌

の習慣一つ、<怖くて>変えられない?

 

しかし、モノは<変革>せざるを得なくなった。 <高機能>松下製は

<安価>中国製に押され、、で対抗上、中国製部品に切り替え、設計を

簡略化し、、 それでも未だ、ヒトは自らを<変えられない>。

 

*   *

 

上海の量販店<永楽>陳社長らとの商談会で、松下側説明者のいわく、

「コスト・ダウンのため、トップ・テーブルを付けないことにした」。

 

何故?と訊く陳社長に、「売りやすくするため、コスト・ダウンさせて

頂くために外させて頂きました」 やたら<頂く>、オタメゴカシ。

 

  ウチのすること、相手が拒むわけ無い、、? そりゃゴーマンだよ。

 

本当に<客のため>なら<外す>前に了解を求めるだろう、に「成約を

見込んですでに生産を始めている。 トップ・テーブルを付けるとなる

と、金型からやり直さなくては、、 是非今回はトップ無しで、、」

 

  <日本人>相手ならあるいは拝み倒せるかも知れないが、、この辺、

  第100号<覇者は学ばず>ソックリ、進歩なし。 <学ばない>

  のは<変わりたがらない>本質ゆえか? 

 

それじゃ売れない、ぜひ付けろと陳社長。 「では、これから検討して

来年から、、」 そりゃ力関係が逆の場合のトーク。 果たして陳社長、

 

「私は来年のことを話しているのではありません。 明日何をするのか

を訊いているのです。 まずは明日です。 来年は遠すぎますよ!」

 

  全くその通り。 中村社長も<速い者が遅い者に勝つ時代>と声を

  涸らしておられるのに、あんた、聴いてなかったの?

 

そしてズバリ、「オリジナル商品が唯1点では売り上げは伸ばせません

よ。 松下さん、まだまだ改革の決心が出来ていませんね。」 よくぞ

おっしゃった。 <日本>が動き始めるには、<外圧>が必要なのです。

 

  現に上海営業所長以下、その場でその気になりました。 有効!

 

「ま、今日のところは契約しましょう。 数が少ないですからね」、で

<頂く>ことが出来た台数は600! 系列店方式の台数とは桁々違い、

ああ、昔は良かったなあ、、

 

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マネシタさんが見習うべきは、ジャック・ウェルチのGEであったかも

知れません。 いや、<勝ち逃げ>など言われる面のある彼、何もかも

お手本にすべきとは思いませんが、せめて<変革>の徹底ぶりだけでも、、

 

たまたま幹部社員研修の場面、講師中村社長も受講者も背広姿。 行儀

は良いが、映し出された限り、熱気ゼロ。 女性受講者が(いたかな?)

少ない。 講師は歯切れ悪く、念仏調で迫力なく、、つい(第78号の)

ウエルチのダイナミックな講師ぶりと比べてしまいました。 

 

「大が小に、ではない。 速が遅に勝つ時代」と、そこでも中村社長は

説法?しておられましたが、私だったらSAで受講者に発言させ、まず

彼らの状況認識を確かめますな。 コミットさせなくちゃ。 そのため、

 

すでに案を携えて来た者にはそれを吐き出させ、DAやPPAにかけて

具体的に論じ合いますね。 何を、何のために、誰が、、 と具体的に

描き出しながら迫る、、 てなこと、あの教室配列では無理でしょうな。

 

一見、幹部育成法も変革未然。 心配ですなあ、松下さん、、

                          ■竹島元一■

    ■今週の<私の写真集から> ★ナイアガラ鳥瞰★

 

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